新感線流活劇の傑作!
この作品を一言で言えば、
「やばい!!」
かゆいところに全て手が届いた上で、「は~っ」って思わず幸せのため息するほど満腹にしてくれて、心の底からスカッとする!
爽快、痛快な一本!!
天海さん&新太さんがW主演、キーワードは「海賊、盗賊、サムライ、薔薇、髑髏」。
これ見ただけで、ニヤッとしました。間違いないと。
ニヤッとして観にいって、冒頭の10分でK.O。
舞台に映像はいまや普通のことだけど、そこは新感線。あんな使い方があるなんて!
強くて気高く、愛情深くて切ないアンヌ。
一番楽しみにしていた天海さん! ドレス姿から軍服姿まで、惜しみなく魅せてくれます!まさに七変化。
その気品たるや、もう言葉がありません。立っているだけで、その凛とした存在感はさすが。
往年の“銀幕のスター”は、きっとこんなだっただろうなと想像させる圧倒的な美しさです。
一番は、舞踏会での1曲かな~。シャルルとの夜空の場面も、捨てがたいけれど。やっぱりアンヌには情熱のフラメンコ!シビれる!
新太さんは、匂いたつ男の色気にクラクラ。歌舞いてるのがどうしてこんなに似合うのか!?
ド派手な衣装で大立ち回り、下心を忘れず(!?)美女には弱いが、刀はめっぽう強い大盗賊・五右衛門。
エロくて抜け目ないくせに、時折見せる真剣な横顔と、仲間のためなら命を張る一本気なところがニクい。女心を鷲づかまれます。
その強さと器のでかさには心底惚れ惚れ。五右衛門こそ、「漢」と書いてオトコと読む男!
無論、鉄板のアドリブでは存分に腹筋も虐めてくれます。
でも、こんな豪華キャストが魅力のいち側面でしかない、というのが、本作の恐ろしさ!
それほど“作品自体の破壊力”が尋常じゃない。
そして薔薇サムには“芝居”よりも“活劇”が、しっくりくる。
粋で痛快、絢爛豪華で圧巻の冒険絵巻。
殺陣、笑い、小ネタ、ダンス、キラキラ要素(笑)、美女、冒険、謀略、駆け引き、覚悟、悲劇、青春、ロマンス。
音楽にしても、歌謡曲からフラメンコ、マカロニ・ウェスタンからオペレッタ、パンクまで。まさに何でもござれ!
それがノンストップで次から次へと展開し、全く違うステージが極彩色の万華鏡の如く、舞台上に現れます。
まさに、見たこともない、圧倒的な質量の「面白さ」。
こちらはその勢いに巻き込まれて、物語をひたすら愉しむしかできない、その快感!!
無数の中毒者を生んだ、至極のエンターテインメント!
シビれるくらいにカッコよくって面白いものが好きなら、絶ッ対に間違いない!!
これが映画でもドラマでもなく、紛れもなく舞台の上で演じられていたことに舌を巻くはず。
ここまでできるの、舞台って!? キャストもスタッフも、ほんとタフ!
最後に。
バルバネグロ役の橋本じゅん氏のことを書かずには終われません。
480度回転くらいして、いっそすがすがしい。
いやもう、この人は・・・ほんとに・・・何者なのか!?
あの姿を観ないのは、目の前の当たりくじをスルーするようなものですね!(笑)
実は、私は公演は観られませんでした。それでさえ、ここまで中毒になる薔薇サムは、「やばい!」。
「薔薇サム」の最高にイカした毒は、映像でも十分まわりますよ。
ぜひ、酔ってください。