国の覇権をめぐり、野心溢れる者たちが、飽くなき戦を繰り返した明日なき時代。
血塗られた修羅の道を行くその女は、一人の男の胸の中に、希望の光を見た。
この世をひっくり返し、戦のない新しい世を作る――。
男の名は、戦国の雄、織田信長。
天へ駆け上らんとするその志に、女は自らの夢を託し、共に盟約を結んだ。
その女は、歴史の裏側で暗躍する狙撃手。
たった一発の銃弾で敵の心臓を正確に射抜く、名うての暗殺者だった。
それから十数年。
信長の命運は京都・本能寺で尽き、その野心を継いだ豊臣秀吉が、ようやく天下統一を果たそうとしていた。
そんなある日、一人の渡り遊女が、砂塵舞う関東平野に現れる。
《極楽》と名乗るその女は、冷たい銃口を一人の男に向けた。
その男、関東髑髏党の党首、名を《天魔王》。
この地で凶暴な武力を蓄え、秀吉の天下統一を阻もうとする男。
《極楽》に暗殺を命じたのは、虎視眈々と秀吉の次を狙う智将、徳川家康だ。
しかし微塵もひるまぬ《天魔王》は、髑髏の仮面に覆われたその素顔を《極楽》の前に晒して見せる。
それは限りなく……あの織田信長に似ていた!?
時あたかも秀吉軍二十万が《天魔王》殲滅を期して髑髏城に迫り、関東髑髏党擁する敵機兵二万との壮絶な戦が始まらんとしていた。
風雲急を告げる漆黒の城。
その中で《天魔王》と《極楽》を結ぶ縁の糸が絡み合い、やがて愛と憎しみに彩られた運命の歯車が、ゆっくりと回り始める……。
女は血塗られた修羅の道を行き、男はこの世の魔王たらんと天を目指す。
果たして二人の見果てぬ夢の行く末は――。
K.Nakashima Selection Vol.30
完全新作!修羅の道を行く女と影の男
奇しき縁で結ばれた熾烈な戦いの幕が開く。
地獄極楽紙一重。戦乱の世を制するは天空を舞う魔王か、血にまみれて大地を這う修羅の女か。
※本商品は書籍です。