天下統一を目前にした織田信長が本能寺で命を落とした数日後、燃え盛る安土城の天守閣で、異形の南蛮鎧――「天魔の鎧」を手にする男がいた。
信長の野望を継がんとするその男は、頬に不敵な笑みを浮かべる。
「地を這う奸賊どもよ。髑髏城で待っている」
八年後、天正十八年。
天下統一の夢は今や、豊臣秀吉が成し遂げようとしていた。
残るは関東を制圧するのみ。
しかしそこでは、黒ずくめの甲冑に身を包んだ、関東髑髏党の敵機兵たちが暴虐の限りを尽くしていた――。
その地に、番傘を手にした一人の男が現れた。
弱き者が流す血の雨や涙雨に、傘を差し出そうとするその男、名を《捨之介》。
この地に来たのは、関東髑髏党の野望の前に立ちはだかるためだ。
そして髑髏党を憎む男がもう一人。
関東一の色里、「無界の里」の主人、《無界屋蘭兵衛》。
そこは敵機兵の暴虐から人々を守るための、救いの里だった。
二人の前に突然、関東髑髏党の党首が姿を見せる。
その男こそ、あの「天魔の鎧」を手にした男、《天魔王》だった。
そして二人と志を同じくする若者たちが「無界の里」に集結する。
弱きを助け強きをくじく関八州荒武者隊の長《兵庫》。
築城の名手、熊木衆の末裔《霧丸》。
そして無界の里で一番の花魁、《極楽太夫》。
さらには諸国流浪のやせ牢人、《狸穴二郎衛門》。
彼らとともに《捨之介》と《蘭兵衛》は、打倒《天魔王》を誓った。
月の光をさえぎる黒雲が、立ち込める関東平野。
そこに漆黒の城、髑髏城が浮かび上がる。
ある夜、何者かが密かにそこを訪ねた。《蘭兵衛》だ。
そして《天魔王》は《蘭兵衛》を穏やかに迎えた……。
総勢二十万の兵による、秀吉の関東征伐が今にも始まらんとするとき、関東平野に再び会いまみえた三人の男たち。
黒雲の向こうに見え隠れする、《天魔王》、《蘭兵衛》、そして《捨之介》の正体とは?
K.Nakashima Selection Vol.28
花鳥風月バージョン第四弾
敵は関東髑髏党 敵機兵二万。
闇に浮かぶ怪しき月よ。我らに無敵の力を与えよ!
※本商品は書籍です。