三世代“きょうえん”
共演・競演・饗宴・狂宴・競艶・協演
全くもって、どの字も当てはまるし、言い得て妙。
20~30代の 躍動感。
40~50代の 安定感。
60~70代の 重厚感。
見事な バランス
絶妙な 人員配置。
またとは観られない このメンバー、この三世代の並び。
特に印象的なのが、大抵 お一人だった大御所ゲストが
今回 お二人もいらっしゃるという事。
これって、物凄く 贅沢なことじゃないかな。
明確な悪役としての立ち位置には、善兵衛様。
白黒つけにくいキーパーソン的な立ち位置には、秀吉様。
村井さんが演じられたことで、善兵衛も ただの強欲な商人ではなく、
金が全てだと言い切るまでになる バックボーンが感じられる。
苦みばしった人生経験からくる説得力・・・とでも言おうか。
「村井さんには助けられました」
いのうえさんが語っておられたのには、そんなことも含まれるのかもしれないなと思う。
秀吉も 麿さんが演じられたことで、
一見、傲慢で我儘放題の困った老人を装いながら、
誰にも有無を言わせない迫力がある。
小柄なだけに、一層 あの体躯に秘められた 欲という名のエネルギーの大きさが、
不気味に伝わってくる。
私も、いのうえさんが言われる「ここ数年で、絶品の秀吉」という言葉に大賛成だ。
大阪の舞台でお目にかかった時、晩年の秀吉に抱いていたイメージが、すんなり重なったから。
大御所のお二方は、登場されただけで 舞台上の雰囲気を 一変なさる。
やはり、見てきた修羅場、踏んできた場数が違うのだろう。
しかも、特典映像のインタビューを観ると、
お芝居や役にかける熱意が、若者に負けず劣らず・・・アツい!
こういう大ベテランの方々が どっしりと存在してこそ、
対極にある若手が輝けると思うし、
安定感のある中堅層(すなわち劇団員の方々)も、
自由に立ち位置を変えながら 振り幅大きく居られるというもの。
屋台骨を支える 40~50代には、
さすがに 若者には醸し出せない色気や、大人としての余裕が感じられる。
これまでの生き様に裏打ちされた自信からくるものだろうか。
また、浦井さんのインタビューに登場する橋本さんの「江戸のど真ん中。。」発言には、
真摯な思いが溢れていて・・・感動した。
もちろん、特典映像での若手3人からは、
「この舞台に出られて嬉しい」感が、ビシバシと ストレートに伝わってくる。
三浦さんや浦井さんの満面の笑みに、蒼井さんの静かなる情熱。
見聞きするだけで、こちらまで嬉しくなってくる。
そういえば、
以前『五右衛門ロックⅠ』特典映像で、古田氏×北大路氏対談の際に、
「うちの劇団も、両方の世代を ゲストに呼べるようになってきた」と話されてたな。
ほんと、益々 面白いコラボが観られるようになって・・・心底 嬉しい。
本作では、素晴らしい役者さん達が揃ったことで、
どの場面を観ても、どの切り口から観ても・・・見応えがあった。
この絶妙なるキャスト配置・・・ いや、奇跡的な 三世代“きょうえん”は、
ある意味“黄金比率”と言えるのではないだろうか?