───うだるような夏の暑さに閉じ込められた山間の集落、赤戸前村。
ここで一組の中年夫婦が道路へ飛び出した猫を庇い、ダンプに轢かれ死亡した……。

両親の訃報を受け、東京から六年のあいだ音信不通だった長女が和合家へと帰って来る。「あんた、本当は二人が死んだことも漫画のネタになると思って喜んでるんでしょ？」おびえる次女にそう微笑む長女。困惑する新妻の待子が夫の穴道から厳守するよう誓わされた一家の掟は次の三つだった。

『一つ、長女の澄伽には何があっても逆らってはいけない』『一つ、次女の清深には決して心を許してはいけない』『一つ、長男の穴道に一切の恋愛感情を抱いてはいけない』やがて自由にふるまう澄伽によって、和合家の日常は大きく歪み始める。それぞれの思惑が交錯し、空回り、事態は一層の泥沼へと嵌まり込んでいき───。

今、演劇界で最も注目を集める若手女性劇作家の一人、本谷有希子。
00年9月に本谷有希子を中心に旗揚げされたのが、専属の俳優を持たないプロデュース・ユニット「劇団、本谷有希子」。その初演作が『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』であり、04年11月に青山円形劇場で満を持して再演されました。

「女性ならでは」という言葉では収まりきれない鋭い感性によって生み出された新たな「家族の肖像」は、演劇界で注目を集めている実力派の出演陣のパワーとも合わさり、劇団史上最高の評価を獲得。各方面から大きな反響を呼びました。2005年4月には大劇場でも活躍する女優・馬渕英俚可を迎えての4人芝居『乱暴と待機』を上演。連日満員となり成功を収めました。

小説版『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』が第18回三島由紀夫賞にノミネートされ、05年4月からはニッポン放送「オールナイトニッポン」の金曜パーソナリティも務めるなど活躍の場を広げ続ける本谷有希子と、劇団、本谷有希子。まずはこのＤＶＤで、飛躍を続ける話題の劇団をチェックしましょう！

東京2004年11月10日～14日／青山円形劇場

DISC:　片面2層 1枚
本編:　107min
音声:　ステレオ
サイズ:　4:3
リージョン:　ALL
発売元:　ヴィレッヂ(C)2005　劇団、本谷有希子