突然、別れた女房と子供が15年ぶりに帰ってきた !
再婚相手と離婚したからしばらくこの家においてくれ、と元女房。
15年前にオレ(長塚京三)を捨てて出ていったくせに何て勝手な言い草だ ! 出ていけ !
───と、言いたいところだが …… ぐっと言葉をのみこんだ。
家族が欲しい。
孤独だったこの15年間、ずっとそう思ってきた。
だからオレは、この「出戻り」の家族を、しぶしぶ、受け容れた。
ところが元女房の敬子(野際陽子)は、
今やストレス性の万引き常習者(そりゃ離婚もされる訳だ !)。
長女の知留子(京野ことみ)は、短大の卒業試験を4年連続で落第中。
そして長男の太(中山祐一朗)は32歳にもなって引きこもり状態 !
我が家族ながら、ほんっとに情けない奴らだ。
そんな時隣のライブハウスから、フルヴォリュームのロックンロールが聞こえてくる。
その大音響に、元女房も娘も半狂乱。「こんな家には居られない !」とわめき始めた。
このままでは、せっかく戻ってきた家族が、またバラバラになってしまう……。
普段仲良くしてもらっているライブハウスの雇われ店長・小百合さん(猫背 椿)には悪いが、
こうなりゃ、ライブをやめさせるしかない。
そこでオレたちの、あのテこのテのライブハウス営業妨害作戦が始まった。
ライブハウスと戦うことで、オレたち家族は、再び心ひとつになれるような気がした。
だが───。そこに助っ人として参戦してくる、
娘・知留子の彼氏だというストーカー気味の銀行員・霜島(池田鉄洋)。
しかし知留子は、あろうことに敵方のミュージシャン、
美崎森(山内圭哉)に惚れてしまい、そして……。
その夜、激しいロックンロールが鳴り響く中、
オレたち家族の絆を完全に断とうとする、哀しい事件が起きた───。
ある日突然、別れた女房と子供が
15年ぶりに帰ってきた。
ムスコよ、君はいったい何を愛していたのか。