親獅子が子獅子を千尋の谷に突き落とし、
駆け上がって来た子獅子だけを育てるという故実を、
実際の親子が演じることでことさらに感動がかき立てられます。
クライマックスの白の毛の親獅子、赤い毛の子獅子による、
息の合った豪快、かつ、華麗な毛振りは必見。
●らくだ
フグに当たって頓死した通称“らくだ”の馬太郎。
仲間の半次は、弔いの金を用立てようと、紙屑買いの久六に声を掛けるが、
らくだの家には売るものは何も無い ――。
困った半次は久六を家主のもとに使いに出し、
通夜の酒肴を出さないと、死人を担いでカンカンノウを躍らせるぞと脅す。
ところが家主は、らくだが死んだとあれば祝いたいと言い、
その上死人のカンカンノウは見たことがないので
初物を見たいものだと言いだす始末。
これを聞いた半次はらくだの馬太郎の遺体を引き起こし、
嫌がる久六に負ぶわせて、ふたりで家主のもとへ向かう……。
※「カンカンノウ」は、中国清朝時代の音楽「清楽」が元歌で、長崎の出島から伝来したらしい。
「看看嚇送奴個九連環」といった歌詞で、九連環とは知恵の輪。
「見ておくれ、私がもらった九連環。どなたか解いてくださいな」が大意。
唐人踊りと称し太鼓などの伴奏で踊るのが十九世紀前半の江戸、大阪で流行した。
連獅子の監督は山田洋次!
歌舞伎の美と笑いをとことん楽しむ豪華二本立て収録。