狼と虎の対峙―――
市川染五郎と堤真一が、新橋演舞場の両花道から真っ向勝負!

スタッフ

作： 中島かずき
演出： いのうえひでのり

キャスト

出演： 市川染五郎 堤真一 水野美紀 西牟田恵 植本純米 橋本じゅん 粟根まこと 金久美子 渡辺いっけい

特典映像

[映像特典]
・チャンバラ別編集映像

[音声特典]
・古田新太／市川染五郎、水野美紀、いのうえひでのりによるコメンタリー

ストーリー

古き時代。
帝(みかど)の血族が祟り神となり、新しき都が生まれすぐに廃れ、更に新しき都が生まれる、そんな時代。

帝を中心とする大和(やまと)の民は、この国を一つにまとめんと帝人(みかどびと)軍を組織し、北の民蝦夷(えみし)達の国に攻め入っていた。

その頃、“立烏帽子(たてえぼし)党”を名乗る蝦夷の一群が盗賊と化し都を襲うが、都の守護役についていた武士、坂上田村麻呂(さかのうえのたむらまろ｜堤真一)はその正体に疑問を抱き、踊り女、鈴鹿(すずか｜水野美紀)の協力を得て、“立烏帽子党”探索をすすめる。

彼らの前に現れる“北の狼”と名乗る謎の男。
彼こそは蝦夷の長の息子、阿弖流為（あてるい｜市川染五郎）だった。

阿弖流為と田村麻呂との間には奇妙な友情が生まれるが、己の血の叫びに従い北に帰る阿弖流為。

強大な帝人軍、蝦夷の中でも内外の問題を抱えながら、彼は一族の長として成長していく。
抵抗を続ける蝦夷討伐の切り札として田村麻呂に征夷大将軍の命がくだった。

北の英雄阿弖流為、征夷大将軍坂上田村麻呂。

二人の宿命の対決に向けて運命の歯車はゆっくりと回っていくのだった。

解説

新橋演舞場の2002年8月公演は、2000年8月に上演されて大きな反響を巻き起こした『阿修羅城の瞳』に続く
「Inouekabuki―Shochiku-mix」第二弾として、中島かずき作、いのうえひでのり演出による新作『アテルイ』を上演。

『阿修羅城の瞳』は、市川染五郎をはじめとする多彩な出演者、中島かずき脚本の壮大な物語、そしていのうえひでのり演出のスピード感あふれるスペクタクルによって熱狂的な支持を受けて大ヒットを記録、大劇場演劇に新風をもたらした。

この野心的な新作『アテルイ』でまず特筆されるのはその主演キャスト。
市川染五郎と堤真一、それぞれ『阿修羅城の瞳』と『野獣郎見参』という中島かずき・いのうえひでのりコンビの傑作に主演している二人が、競演の形で新作に挑みます。
ここに、数々のドラマ主演の一方でいのうえ演出の重要な要素・アクションに強い思いを抱いてきた、水野美紀が初舞台で加わるという、豪華な主演トリオの作品となります。

共演には、『阿修羅城の瞳』以来の待望の再登場となる渡辺いっけいと、小劇場で発揮し続けた魅力をついに大劇場で魅せる金久美子。
さらに西牟田恵、植本潤らの小劇場ではおなじみの俳優陣と、橋本じゅん、粟根まことをはじめとする劇団☆新感線のメンバーが加わります。

そしてこの「競演」の舞台となるのが両花道の劇場空間です。
上手側の客席を一部取り払いもう一つの花道を設置するこの大がかりな舞台機構は、まさに新橋演舞場での松竹プロデュース公演ならではと言うことができます。
古典歌舞伎の上演でもあまり頻繁には使用されないこの両花道を使ったいのうえ演出は、これまでにないエンターテイメントに満ちた演劇空間を創出しました。

第47回(2003)岸田國士戯曲賞受賞
第2回朝日舞台芸術賞/秋元松代賞受賞



※植本純米さんのお名前の表記について。
本作上演当時は「植本潤」とされていましたが、現在は「植本純米」に改名されました。
当サイトでは、現在の「植本純米」という表記で統一しています。

公演情報

東京:2002年8月5日(月)～28日(水)／新橋演舞場
※プレビュー公演(東京:2002年8月4日(日)／新橋演舞場