月影花之丞一座。
演劇界でも孤高の位置を占める劇団である。
率いるは、“座長芝居の最終兵器”と呼ばれる月影花之丞(木野花)。
しかし、彼女の身体は恐るべき病魔に蝕まれていた。
奔馬性爆心症〈ハイテンション・ビッグバン〉−−−−−−−。
数年前に一度発作に襲われ、九死に一生を得たが、今度発作を起こせば死は確実と言われている。
そんなある日、舞台稽古をみていた花之丞は、一座を支える花形役者・桜小町カケル(森奈みはる)に活をいれるため当て馬を連れてくる。
そば屋の出前持ちの娘、彼女の名は、赤巻紙茜(高橋由美子)。
本人も無自覚だったが驚くべき演劇運動神経の持ち主だった。
茜に天性の資質を感じた花之丞は、一座に加えることを決める。
突然のライバル出現に、敵愾心を燃やすカケル。
カケルの意地悪や、花之丞が与える試練の数々、カケルと花之丞を日々支える役者兼裏方の古株、殴屋多喜二(川原和久)の厳しい言葉に耐えきれず逃げ出してしまう茜に、花之丞は真意をあかす。
『紅天狗』
花之丞だけが上演権を持つ大衆演劇界に伝わる、幻の舞台。
いつか、ふたたびこの作品を世に出すと誓った花之丞は茜という天賦の才を得て、動き始めたのだ。
しかし、そのためにはまだまだ数多くの試練を乗り越えなければならない。
そんな中、日本芸能界の征服を目指す悪徳傲慢プロデューサー、仰天一郎(池田成志)が動き出した。
彼は、花之丞に復讐を誓う上川端麗子(川崎悦子)と手を組み、『紅天狗』の上演権を横取りすべく、妨害工作を始める。
茜とカケル、花之丞と麗子、そして天一郎。
さまざまな運命が交錯する中、ついに『紅天狗』上演の時が来た。
奇人変人入り乱れ、今、最後のステージの幕が開く─。
色々な物語を彷彿とさせる、新感線流怒涛のミュージカル。
今、蘇る紅の伝説!